本課題は降雨タイプの違い(暖かい雨と冷たい雨)をマイクロ波放射データから推定し、将来の気候予測において現時点で最も不確定性の大きいエアロゾル間接効果との関係を探ろうとする研究である。3ヵ年計画の初年度である今年は(1)関連するデータの収集と(2)解析アルゴリズムの基礎的な部分のコード作りをメインに行った。まず(1)のデータ収集についてはマイクロ波放射データであるSSMI (Special Sensor Microwave Imager)データを一部について購入し、データ読み込みと基本的な処理を行い簡単な統計操作を行った。また国際衛星雲気候計画(International Satellite Cloud Climatology Project)から提供されている雲量、雲タイプ、雲の光学的厚さなどの雲特性データをホームページからダウンロードしてその地理的分布や発生頻度の季節変化と年々変化を1983から1999年について調べた。次年度には必要なデータ収集を全て完了させる予定である。(2)の解析アルゴリズムのコード作りについては順計算(forward calculation)を行うために放射計算コードを整備して様々な地表面温度、気温プロファイル、雲高度、凝結水状態(雲水、雲氷、降雨、霰、雹)や衛星センサーの角度などを変化させて計算し、衛星受信シグナルに及ぼすこれら大気変数の寄与の定量化を進めた。これは逆計算(backward calculation)を行って降雨タイプ判別を行う際の重要な情報となる。次年度は順計算を更に進めて各大気変数の定量化を完了し、解析アルゴリズム(逆計算)の完成とSSMIデータへの準備的な適用を予定している。本年度は研究を開始した初年度であるため学術論文や学会発表などの形での成果はない。
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