研究概要 |
この研究では,梅雨前線上の擾乱の発生・発達と亜熱帯ジェット上のロスビー波の伝播との関係について調べている. 本年度は,2004年7月の事例について,データ解析及びシミュレーションにより調べた.まず,背景場に関して平年の状態及び2003年7月との比較を行なった.2004年7月のチベット高気圧は,平年に比べて強いあるいは北偏しているとは言えないが,亜熱帯ジェットに沿った東向きエネルギー伝播に都合の良い場になっていたことが分かった.2003年は亜寒帯ジェットに沿った伝播が起きやすかったのに対し,2004年は欧州からのエネルギーが亜寒帯ジェットではなく亜熱帯ジェットに流入しやすい状態になっていることも分かった.次に,2004年7月のロスビー波の伝播事例について地球シミュレータ上で全球大気大循環モデルAFES (AGCM for the Earth Simulator)用いて全球20kmの解像度で1週間のシミュレーションを行なった.7月15日から積分を開始し,7月17〜18日に発生した福井豪雨,関東以西の梅雨明け,7月20日の関東地方の異常高温を再現することができた.また,1か月のアンサンブル予測実験を行ない,大陸上の定常ロスビー波の予測可能性が高いことを確認した.さらに,大気の大循環場が局地的な現象に与える影響を調べる道具として,アンサンブル予測を用いた感度解析の手法を考案した. 2005年6月下旬にも顕著なロスビー波の伝播が見られ,日本南岸の梅雨前線がいったん弱まり,北側に大陸から日本海に伸びる前線ができた.この事例についても実験の準備を進めているところである.
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