本研究は、電離圏を3次元で扱う地球磁気圏グローバルMHDシミュレーションコードを開発し、これを用いて、磁気圏と電離圏がどのように電磁気的に結合しているかを調べていくことを目的としている。今年度は、シミュレーションコードの開発作業を行った。利便性を考慮し、当初は千葉大学総合メディア基盤センターにおいて、コード開発作業を行っていた。しかし、非常に多くのユーザーに計算機が利用されるようになり、利用時間が大幅に少なくなったために、開発作業が困難となった。そこで、コード開発作業を、千葉大学と同じ計算機(日立SR11000)を所有する国立極地研究所極域情報基盤センターに移行した。シミュレーションコードの確認作業はまだ完全ではないため、早急にコードの確認を終了させ、研究を進めることが求められる。 グローバルMHDシミュレーションに組み込む電離圏電気ポテンシャル計算コードについても改良を進めている。沿磁力線電流分布・電離圏電気伝導度分布を与えることにより、電気ポテンシャルの3次元分布を求めることが可能になっており、今年度は、Pedersen・Hall・平行電流とその発散などについても調べた。その結果から、電気伝導度が一様の場合、平行電流(沿磁力線電流)とPedersen電流とが閉じていることが確認された。また、電気伝導度が大きく変化しているところでは、Hall電流の発散も0ではなくなり、Pedersen電流の発散とつりあっていることが明らかとなった。これらの結果の一部は、地球電磁気・地球惑星圏学会第118回講演会でも報告を行った。 以上の研究を遂行するため、備品として、計算サーバを導入した。これにより、計算結果の可視化や、そのためのデータ処理を行うことなども可能になった。さらに、ディスクアレイを導入し、大量の計算結果の保存に対応した。
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