研究概要 |
放射線帯の高エネルギー電子の消失過程において、波動粒子相互作用がどの程度寄与しているかを定量的に評価するために、波動粒子相互作用のプロセスを組み込んだ内部磁気圏のグローバルなモデルの開発を行っている。研究2年次においては、米国の研究協力者のところに滞在し、プラズマ波動の成長率の計算方法およびコード設計についての打合せを行い、温度異方性によるホイッスラーモードの成長率の計算を行った。計算は、2002年10月に発生した磁気嵐を対象としており、磁気嵐の主相において内部磁気圏の夜-朝側のプラズマポーズ外側において強いホイッスラーモードの波動が成長することを示した。この結果は、国際会議(Future Perspectives of Space Plasma and Particle Instrumentation and International CollaborationsおよびAmerican Geophysical Union)において招待講演として報告した。また、2001年10月に発生した磁気嵐時の数値実験の結果について、国際学術誌Journal of Geophysical Researchに2本の論文として発表した。 さらに、磁気嵐時の内部磁気圏の高エネルギー粒子の消失および増加の挙動について、太陽風の構造に注目した解析を行い、磁気嵐を引き起こす太陽風の構造の違いによって、リングカレント、放射線帯の電下が異なった振る舞いを示すことを明かにし、国際会議(Asia Oceania Geoscience Society, Western Pacific Geophysical Meeting, International Symposium on Recent Observations and Simulations of the Sun-Earth System)で招待講演として報告するとともに、国際学術誌Space Weatherに論文として発表した。また、高速太陽風通過時の惑星間空間磁場の極性の違いが、サブストームの活動度およびそれに伴うホイッスラーコーラスの活動度に影響を与えることで、放射線帯の発達をコントロールしていることを事例解析によって示し、国際学術誌Journal of Geophysical Researchに発表した。
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