研究概要 |
日高山脈西麓部の春別川〜新冠川流域に分布する白亜紀付加体(神居古潭帯,イドンナップ帯)とその被覆層(前弧海盆堆積物)である蝦夷累層群について野外調査を行い,構造層序の詳細を明らかにした.とくに,層序が確立されていなかった当地域の蝦夷累層群について集中的にマッピングを行うとともに放散虫年代を検討し,新たな岩相・年代層序区分を構築し,地質図をほぼ完成させた.また,海洋プレート(海山)起源と上盤プレート(オフィオライト)起源の二種類の緑色岩を野外で識別しながらマッピングを行った.その結果,前期白亜紀後葉(Albian)には,近年発見された神居古潭帯と蝦夷累層群の間の不整合のほかに,イドンナップ帯西縁部にも非整合があることが発見された.また,岩相や産出化石に基づいて,不整合直上層準の堆積環境は西で浅く東で深いことや広域的に海底土石流/地すべり堆積物が挟まれることが明らかとなり,高圧変成岩の上昇に伴って前弧斜面が急傾斜となり,斜面が不安定化したことが推定された.また,前弧海盆の東端部では付加体上にオフィオライト起源の厚い緑色岩体を介して蝦夷累層群が堆積するのに対し,神居古潭帯では上昇した高圧変成付加体を蝦夷累層群が直接不整合に覆うか,非常に薄いオフィオライト起源緑色岩を介在する構造層序が明らかとなった.このため,元来付加体の上位を覆っていたオフィオライトが薄化・欠損したことが高圧変成岩の上昇に関わった可能性が高くなった.
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