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2007 年度 実績報告書

付加,構造侵食,および高圧変成岩上昇をもたらす,沈み込み帯での固体物質循環

研究課題

研究課題/領域番号 17740329
研究機関弘前大学

研究代表者

植田 勇人  弘前大学, 教育学部, 准教授 (70374197)

キーワードテクトニクス / 地質学 / 高圧変成岩 / 付加体 / 物質循環 / 剥ぎ取り付加 / 放散虫 / 構造侵食
研究概要

1.神居古潭帯新冠地域に分布する付加体について野外調査を実施し,岩石薄片の観察,放散虫化石抽出,および変形構造の解析から,層序や変形履歴を解析した.その結果,当該地域の付加体は,(1)前期白亜紀中頃に海洋プレートの左斜め沈み込みに伴い表層部で剥ぎ取り付加によって形成され,(2)形成後約2000万年かかって沈み込み帯深部約15kmまで搬入されて低温高圧変成作用を受けたことが明らかになった.これらの過程は,浅部物質がプレート沈み込みによって深部に引き込まれる構造侵食を示すと考えられる.
2.前弧海盆の層序と放散虫化石年代の検討を行った.上記の構造侵食や高圧変成岩の上昇イベントと同時期に,神居古潭帯のみならずより海溝寄りの地域にも不整合が形成されたことが明らかになった.不整合直上に海底土石流〜地すべり堆積物が普遍的に産することや,変成岩上昇域で浅く海溝寄りで深い堆積相を示すことから,当時の前弧海盆が一時的に海側に急傾斜化した様子が復元された.
3.上記の成果を統合し,高圧変成岩上昇時における前弧域での固体物質循環モデルを構築した.すなわち,構造侵食による内弧側への物質移動,沈み込み帯深部から浅部への上向き物質移動,および表層の急傾斜化と斜面崩壊による海溝側への物質移動からなる,コーナー流が復元される.当時沈み込んだ海洋プレートは堆積物に乏しく海山等の起伏に富んでいたことから,このコーナー流は,プレート上面の摩擦が増大したために生じた誘導流と考えられる.
以上の成果については,一部は論文や学会発表で公表したほか,学会巡検を開催し多くの研究者の意見や教示を受け,現在も論文を執筆中である.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2007 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 海山沈み込みに伴う前弧域の発達過程と固体物質循環2007

    • 著者名/発表者名
      植田勇人
    • 雑誌名

      地質学雑誌 133巻補遺

      ページ: 137-152

    • 査読あり
  • [学会発表] 構造性侵食による高圧変成岩の上昇?:神居古潭帯南部からの考察2007

    • 著者名/発表者名
      植田勇人
    • 学会等名
      日本地質学会第114年学術大会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2007-09-10
  • [学会発表] 蝦夷前弧海盆(北海道)東縁における白亜紀中期の非整合:神居古潭変成岩上昇時の表層変動2007

    • 著者名/発表者名
      植田勇人・川村信人
    • 学会等名
      日本地質学会第114年学術大会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2007-09-10
  • [図書] 日本地方地質誌 北海道地方

    • 著者名/発表者名
      日本地質学会編(分担執筆)
    • 出版者
      朝倉書店(印刷中)
  • [図書] 新札幌の自然を歩く

    • 著者名/発表者名
      宮坂省吾ほか編(分担執筆)
    • 出版者
      北大図書刊行会(印刷中)
  • [図書] 海洋底調査の基本 -海の地質基準

    • 著者名/発表者名
      日本地質学会地質基準委員会編著(分担執筆)
    • 出版者
      共立出版(印刷中)
  • [備考]

    • URL

      http://www5b.biglobe.ne.jp/~ueta/

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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