2000年鳥取県西部地震の余震域とその周辺地域において、前年度までに分布位置や構造の記載、定性的な色相の測定を完了している断層岩を主な対象として研究を行った。また、福岡県の警固断層、山口県の大原湖断層、淡路島の野島断層、岐阜県の阿寺断層に沿う断層岩と比較検討した。 1.分光測色計を用いて、断層岩(断層ガウジ)の色相と彩度を露頭で測定した。測色値をL*a*b*表色系で検討し、a*-b*平面に表現した。2000年余震域内のガウジについての測定値は、b*=2.713 a*+12.003(r^2=0.841)と表される直線上に列ぶ(白色系・灰色系)。一方、日南湖リニアメントと小町-大谷リニアメント系の上にあるガウジは、b*/a*がやや小さい直線上にあり、また余震域・リニアメントから外れて分布するガウジは、b*/a*がさらに小さい領域まで分散する(赤色系)。さらに、他地域の活断層に沿うガウジについても同様に測色した。源岩はいずれも珪長質岩である。断層毎にまとめた測定値は、2000年余震域内のガウジとほぼ共通なトレンドをなす。この色相トレンドは、活断層の中軸部(fault core)を構成するガウジとして一般的なものであることが明らかになった。 2.上記の成果を中心に、日本地球惑星科学連合2006年大会、ならびに日本地質学会第113年学術大会にて発表した。 3.警固断層に沿うガウジについて、XRDによる鉱物組成の検討を行い、測色結果と比較した。大局的には彩度の高いガウジがスメクタイトに富むのに対し、彩度の低いガウジはイライトに富む傾向があることが明らかになった。
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