研究課題
1.大型有孔虫の生活史と亜熱帯サンゴ礁の季節変動との関係亜熱帯のサンゴ礁に棲息する大型底生有孔虫5種の種組成・棲息密度・サイズ組成について、慶良間列島阿嘉島で2005年9月〜2006年11月のほぼ1ヶ月おきに採取された試料を用いて検討した.その結果、生体群集の棲息密度の季節変動は、秋から冬にかけてはCalcarina hispidaの個体数の増加に、春から夏にかけてはNeorotalia calcarの個体数の増加に影響されることや、遺骸群集の密度は、秋と春に大きく増加し、特に1-0.5mm径の個体の増減に影響されることが明らかとなった.また、各有孔虫種の寿命は半年から1年前後であると推定された.以上の結果から、(1)棲息密度の変動には生殖や死亡の時期と頻度が大きく影響する、(2)春と秋には大規模な世代交代があると考えられる、(3)分裂で産まれた個体のほとんどが0.5mm径まで成長した後に死亡する、(4)25℃付近の海水温が春と秋に大規模な世代交代(無性生殖)が起こる要因であると考えられる.2.マイクロセンサーを用いた大型有孔虫-微細藻共生系の代謝測定本年度は微小酸素電極装置を用いて大型有孔虫-微細藻共生系の代謝の測定方法を確立するとともに、安定した測定結果が得られるようになった.まだ公表できる十分なデータが得られていないため、今後測定結果を蓄積し、(1)生理耐性限界付近での大型有孔虫の挙動(特に高水温による大型有孔虫の白化現象の有無との関連)、(2)同種内の生理耐性の地理的・水深的変異、(3)同属種間の代謝や生理耐性の違いなどについて検討したい.
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Galaxea, 日本サンゴ礁学会誌 (印刷中)
Galaxea, Journal of the Japanese Coral Reef Society (印刷中)
Journal of Foraminiferal Research 38
ページ: 117-126