研究課題
SPring-8のマルチアンビル高圧装置を用いて、惑星中心核を構成する最も有力な物質とされるFe-S系のメルトの粘性の20GPa,2000℃までの温度、圧力依存性を求めることが本研究の目的である。鉄合金メルトの粘性を高圧側で測定するために、従来は低圧条件側で使用してきた超硬アンビルの先端切り欠き12-8mmの高圧セルに改良を加え、先端切り欠きが5mmのセルの開発をおこなった。10GPa以上のヒーター材質として、グラファイトが使用できないため、ランタンクロマイドを使用した。このランタンクロマイドはX線吸収が大きいため、厚さを薄くし、またガスケットのX線パス部にはX線吸収係数の低いボロンーエポキシを用いるという工夫をおこなった。また従来までは大きな問題であった、粘性のマーカー金属球と試料との反応に関しては、金属球を厚さ数ミクロンのアルミナでコーティングすることにより、解決できた。この結果、高圧下でも試料とマーカー球とのコントラストがよく判別でき、また粘性測定に重要な視野を十分に確保することができた。このように確立された高圧セルを用いて、Fe-S系メルトの粘性測定をおこなった。取り込み速度が最高125フレーム/秒の高速度カメラと組み合わせることにより、Fe-S共融点組成メルトの圧力依存性を精度良く求めることができた。16GPaまでの圧力範囲では、粘性係数の圧力依存性すなわち粘性流動の活性化体積は、非常に小さいことが明らかとなった。備品としての実体顕微鏡は、試料準備の際に使用した。
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