研究概要 |
重イオン慣性核融合のエネルギードライバである粒子加速器システムから生成される粒子ビームをパルス圧縮するファイナルビームバンチング領域について,そのビームダイナミクスを明らかにすることが研究目的である.この領域では,大強度の重イオンビームを急激にパルス圧縮するため,ビームの質の劣化が予想されターゲットへの効果的な照射を妨げる恐れがあり十分に検討されなければならない.また,非常に大電流なビームのため,空間電荷効果が大きくビームの挙動に影響を与え,非中性プラズマとして振る舞うことが予想される.ビームダイナミクスシミュレーション用粒子コードを開発し,不安定性の成長やビームの質の劣化を検討して合理的な重イオン慣性核融合のシステム設計のための指針を得ることが本研究の目標である. 本年度は本研究計画の初年度に引き続き,計算機環境の構築とシミュレーションコードの開発・調整等を行い,また作成したコードにより計算を行った.本研究予算で計算サーバを追加導入し,環境を整え計算コード開発および調整を行った.計算手法としてはプラズマの計算モデルとして良く用いられているParticle-in-cell法をベースにし,本研究目的に適した粒子コードを開発した.開発したシミュレーションコードで計算を行い,上記に述べたようなビーム不安定性や質の低下を確認できた. 今年度は重イオン慣性核融合国際会議HIF06という本研究テーマに密接に関連した国際会議にて招待公演を依頼され,研究発表を行った.また,第6回核融合エネルギー連合講演会に参加し研究発表および情報収集を行うことができた.さらに,東京工業大学の重イオン慣性核融合研究グループや高エネルギー加速器研究機構,米国ローレンス・リバモア国立研究所およびローレンス・バークレイ国立研究所の研究員とも情報交換や共同研究を進めることができた.
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