研究概要 |
本研究では、原子・分子密度を計測可能なレーザー誘起蛍光計測システムを開発すること、および、境界層模擬プラズマのイオン・原子・分子密度分布を計測することを目的としている。本年度は計測法の開発と密度分布計測に必要な以下の要素について研究を行った。 1.水素原子の計測に必要な紫外レーザー光を得るための非線形光学結晶の調整を行い、その初段についてレーザー出力(0.5J/cm2@615nm,50mJ/cm2@308nm)が得られることを確認した。 2.レーザー発振波長の高精度モニタ法として、吸収分光法および光ガルバノ法を検討し、両手法に適用可能なホローカソードランプを開発し、製作した。 3.検出器の最適化設計を行い、製作した検出器の受光効率を実験的に評価した。実験はアルゴンイオンに対するレーザー誘起蛍光を計測することで行った。従来の検出器に比べてレーザー誘起蛍光信号強度が約5倍に増大し、分布計測を比較的短時間で行うことが可能になった。 4.レーザー誘起蛍光法により得られる信号強度を評価するために、ヘリウム中性粒子の準安定状態を対象に、放射される蛍光光子数および観測体積や伝送損失を考慮した実効的な蛍光受光効率を計算した。 5.真空容器への導入ポート、ビームダンプなどを整備した。このポート固有の迷光強度をレイリー散乱により計測したところ等価窒素圧力500Paであり、迷光に関して十分な信号雑音強度比を確保できていることが明らかになった。 6.レーザートムソン散乱計測システムおよび静電プローブ計測システムの整備を行い、重要なプラズマ基礎特性である電子温度および電子密度の計測を行った。また、原子密度分布を得る予備実験として、レーザートムソン散乱計測および原子線スペクトル受動分光計測へ衝突輻射モデルを適用し、水素原子に関する初期データを得た。
|