本研究は、超高強度レーザーによる単エネルギーイオン加速の可能性を調べる物であり、現在のレーザー強度では、イオンは高強度レーザーによって生成する高エネルギー電子とのクーロン力によってのみ加速されるため、高速電子の特性を調べることが非常に重要となっている。しかし、ターゲット裏面においてこの加速により電子も変調され、ターゲット内部での電子の特性は不明のままであった。 そこで、本研究ではターゲット裏面もしくはターゲットそのものにチェレンコフ媒質を配置し、ターゲット内部での電子の挙動を調べることを目的としている。 本年度は計測器の整備を行った。チェレンコフ光はX線領域で計測する物とし、既存のX線用CCDを使い真空容器、X線用の光学素子、コントロール用PC等を購入した。 ただ計測器の校正を行うために使用を予定していた大阪大学レーザーエネルギー学研究センターの大型レーザーシステム、激光MII号30TWシステムがシステムのアップグレードに手間取り実験が行えなかったため、校正及び実験は来年度に行うことにした。 また、ターゲット内の電子の挙動を調べる目的で、チェレンコフによる計測と共に、高速電子による加熱により発生する熱核反応中性子の計測を行うために英国・ラザフォードアップルトン研究所の中央レーザー施設で国際共同実験を行った。ショット数の関係でチェレンコフ計測は1ショットのみしか行えなかったが、中性子計測にて信号を検出し、過去のデータと合わせて論文を出版した。
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