本研究では先ず速いイオンの挙動を計測するために、従来の計測器より10-100倍程度速い時間分解能を有する、高速荷電交換再結合分光装置を改造し、測定精度を改善する。これを用い、Edge Localized Mode(ELM)間のプラズマ周辺部の密度、イオン温度、並びにプラズマ回転分布の同位置・同時計測を行う。これら得られたデータにより周辺輸送障壁の崩壊と回復のダイナミクスの物理機構の解明、並びに周辺輸送障壁回復時の輸送・電場/回転・圧力の相関を詳細に導出し、輸送改善の因果関係と空間構造を決定する機構を解明する事を研究目的としている。 今年度は、本研究計画に従い、 1.先ずプラズマの密度、イオン温度、並びにプラズマ回転分布の同位置・同時計測可能な、高速荷電交換再結合分光装置を改造し、測定精度を改善した。 2.次にモノクロメーターを用いて新規計測器の感度較正を行いプラズマ計測に備えた。併せてこの独自の計測器を駆使した計測結果を得るための、データ収集系等のソフトウェアの開発や電源等のハードウェアの整備を物品費を用いて行い、研究基盤の確立を実施した。 3.更に、上述の新規計測器を実際にプラズマ計測に適用し、既存の計測器結果とのクロスチェックを行いながら、データベースの収集を行った。以上の研究成果をまとめ、旅費を用いて日本物理学会、及びロシアのサンクトペテルブルクで開催された「第10回Hモード物理と輸送障壁に関するIAEA技術会合」で発表し、論文:Plasma Physics and Controlled Fusionに公表した。
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