第2高調波分光法と電場変調(シュタルク)分光法とを組み合わせた分光法を開発するために、本年度は、試料基板からの反射光に含まれる第2高調波を検出するための光学系・光検出系の組み立てを行った。使用を予定していたチタンサファイアモードロックフェムト秒パルスレーザーを使用することができなくなったために、パルスNd : YAGレーザーの基本光もしくは第2高調波を光源として使用することになった。各波長に応じたλ/2波長板とグランテーラープリズムにより入射光の偏光面を規定したのち、レンズを用いて試料基板表面にレーザー光を集光した。試料表面の直前において、光学素子から生じる第2高調波成分を取り除くために、IRパスフィルターもしくは紫外カットフィルターを用いた。試料基板表面からの反射光は、バンドパスフィルターによって基本光を取り除き、入射光の第2高調波成分のみをアナライザーを通したのち光電子増倍管で検出した。信号はプリアンプを通してボックスカー型積分器で積算して測定した。蒸着試料を測定する前段階として、光学系のチェックのため、非常に大きな非線形感受率を有することが知られているヒ化ガリウム単結晶のウエハーを用いる必要があった。また、国内学会に計3回参加し、講演を行った。今後の計画として、蒸着基板からの信号を測定し、入射・出射偏光面の組み合わせを変えて測定を行う予定である。また、電場を蒸着膜に印加し、第2高調波強度の変化を観測する予定である。
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