研究課題
アルキル側鎖を有するキノンオリゴマーの合成を行った。すなわちジメトキシベンゼンを出発原料とし、フリーデルークラフツアシル化反応と、それに続く還元反応によりアルキル基を導入した。続いてブロモ体さらにボロン酸への変換を行い、両者の鈴木-宮浦カップリングによりジメトキシベンゼン2量体を得た。これを脱保護することでヒドロキノン2量体、さらに酸化することでキノン2量体を高収率で得た。3量体も同様の方法で合成した。得られたヒドロキノン2量体及びキノン2量体のドナー能及びアクセプター能をCV法により測定したところ、いずれも1量体に比べて大きくドナー性ないしアクセプター性が向上していることが見出された。次に、ヒドロキノン2量体及びキノン2量体と、ヒドロキノン及びベンゾキノンと組み合わせて錯体調製を試みたところ、いずれの場合にもキンヒドロン型錯体の形成を示唆する深い呈色が観測された。キノンとヒドロキノンの組み合わせにより、吸収帯の位置や錯体形成速度に差が生じたが、これは錯体のパッキングの影響と考えることが出きる。生成した錯体試料をDSC(本研究助成金により購入)を用いて熱分析したところ、加熱することでプロトン及び電子移動を経たヒドロキノン部位とキノン部位の相互変換が観測された。ただしそれ以外にも、副生成物の発生や相転移による急熱/発熱ピークが観測されているために、反応の詳細については現在検討中である。
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Mol.Cryst.Liq.Cryst. (印刷中)
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