研究概要 |
1)申請者が見いだした位置制御ベンズアヌレーションを鍵段階として、リグナンラクトン天然物(抗ウィルス活性)justicidin B,retrojusticidin B,dehydrodesoxypodophyllotoxinおよび、類縁体5'-methoxyretrochinensinのそれぞれの高選択的な全合成を達成した。 2)光学活性ジアリールジクロロシクロプロピルメタノール(AACMと略す)から光学活性α-アリールナフタレンへの不斉変換ベンズアヌレーション、すなわち中心不斉(>99%ee)から軸不斉(>99%ee)への極めて高度な一段階での不斉変換反応が進行すること見い出した。不斉変換ベンズアヌレーションのさらなる展開を図るため、AACMのアリール基のortho-,meta-,para-置換基(R^2=Cl,Me,OMe)と環化の関係を詳細に調べた。その結果、ortho-またはpara-置換AACMでは、アリール基が高位置選択的に転位するipso-型ベンズアヌレーションが進行することを見出した。一方、meta-置換AACMでは、1,6-環化を経由する通常のベンズアヌレーションが進行することが分かった。現在、これらの結果を国際誌に投稿準備中である。また、これらの不斉変換反応を鍵反応とする光学活性な軸不斉リグナン天然物Justidinoside C(抗ウィルス活性),Prostalidin A(抗腫瘍活性)の全合成を行い、すでに軸不斉環化体を得た。現在、光学純度の向上と側鎖変換を検討している。これらが達成できれば世界で初めての全合成になる。
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