研究概要 |
平成18年度の本研究課題において、以下の研究実績を得た。 1)COを用いるジクロロシクロプロパンの高立体選択的ラジカルカルボニル化 ジブロモシクロプロパンに比べ置換困難なジクロロシクロプロパンのC-Cl結合の置換反応を検討した結果、ジクロロシクロプロパンのCO雰囲気下でのBu_3SnH(ホルミル化)またはBu_3Sn(CH_2CH=CH_2)(アリルアシル化)によるカルボニル化反応が良好な収率で立体選択的(trans/cis=>99/1-75/25および17/83-1/99)に進行することを見いだした。2,3-cis-2置換ジクロロシクロプロパンのホルミル化は、高立体選択的(trans/cis=>99/1-95/5)にtrans-付加体を与える。一方、アリルアシル化では、2,3-cis-2置換ジクロロシクロプロパンだけでなく2-モノ置換ジクロロシクロプロパンでも高立体選択的(trans/cis=>99/1)にtrans-付加体を与える。また、ヒドロキシメチル基を有する基質においては、水酸基の関与によりラクトール中間体を形成することによりcis-付加体を主生成物として与えた。 2)非対称多置換チオフェンの新規合成法の開発 ローソン試薬により促進されるジクロロシクロプロピルケトンの高位置選択的な環拡大反応による非対称多置換5-クロロおよび3-クロロチオフェン類の合成法を開発した。生成物の5-クロロおよび3-クロロチオフェン類のClは、さらにSuzuki-Miyauraカップリングによりアリール基に変換できることも明らかにした。
|