研究概要 |
1.ジクロロシクロプロパンの2つのC-Cl結合の連続的高立体選択的変換反応の開発 a)ジクロロシクロプロパンの高立体選択的ラジカル的アシル化反応 b)1-クロロシクロプロパンカルボン酸エステルのReformatsky型C-C結合形成反応ジブロモシクロプロパンのC-Br結合のC-C結合への変換は数多く報告されているが,C-Brよりも強固なジクロロシクロプロパンの2つのC-CI結合のC-C結合への変換は報告されていない。昨年度,a)ジクロロシクロプロパンの高立体選択的ラジカル的アシル化反応を見出した(Org.Lett.2007,9,563.)。1段階目のC-Cl結合のアシル化反応である。さらなる展開として,この反応の生成物を用いて,2段階目のC-Cl結合の変換反応としてSml_2を用いる高立体選択的なReformatsky型C-C結合形成反応を見出した(投稿準備中)。これらの反応により,初めてジクロロシクロプロパンの2つのC-Cl結合のC-C結合への変換することができるようになった。 2.光学活性ジクロロシクロプロパンカルボン酸の不斉アミンを用いる光学分割法および光学活性アルコールとのエステルとしジアステオマ-をカラムで単離し,光学活性ジクロロシクロプロパンカルボン酸に変換する分割法を見出した(Org.Biomol.Chem.2008,6,540-547.)。 3.ジクロロシクロプロピルケトンの環拡大反応を用いる非対称多置換チオフエン類の合成と応用:昨年度,見出したシクロプロパン環開裂および脱HClを伴う非対称多置換チオフェン環形成反応を応用し,β-アミロイド捕捉類縁体とされる非対称多置換2,5-ジアリールチオフエン類の合成を達成した。特に3,4位に置換基を有する10種類の2,5-ジアリールチオフェン誘導体を合成した(投稿準備中)。
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