研究課題
分子内に高い不斉自己触媒活性部位を3つ有するSSS体のトリス(ピリミジン)トリアルカノールを用い、3つの不斉中心を1回の反応で構築可能な不斉自己触媒反応が高エナンチオ選択的に進行することを見出した。さらにSSR体を不斉触媒として用いる不斉自己触媒反応の検討を行った。触媒として用いるSSR体はラセミ体のトリアルカノールよりキラルカラムを用いたHPLC分取により調製した。得られたSSR体存在下、対応するトリアルデヒドとジイソプロピル亜鉛の不斉イソプロピル化反応を行ったところSSS体が多く生成し収率47%、異性体比SSS/SSR/SRR/RRR=50/45/4/1で得られた。さらに3回の連続的不斉自己触媒反応を行うことにより,最初全く存在しなかったSSS体が優先的に自己増殖し高い鏡像体過剰率で得られることを見出した。すなわち本キラル高分子が自己増殖能、さらには自己改善能をも有することを示している。続いて活性部位を分子内に4つ有するテトラキス(ピリミジン)テトラアルカノールの合成を検討した。5-ブロモ-1-ペンテンのグリニヤール試薬をテトラクロロシランと反応させてテトラアルキルシランを合成した後、ジメチルクロロシランを用いヒドロシリル化した。別途調製したS体>99.5%eeのアルキニルグリニヤール試薬を反応させることにより中心骨格に4つ活性部位を導入した。水酸基を保護しているTMS基を脱保護することにより光学活性なSSSS体のテトラキス(ピリミジン)テトラアルカノールを合成することに成功した。今後本テトラマーを用いる不斉自己触媒反応の検討を行っていく。
すべて 2006 2005
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