電解重合法は膜厚の制御、微小部への修飾、生体分子などを包括的に固定化可能などの利点がある。18年度までに我々は、Os錯体導入ピロールによるリージェントレス(Reagentless sensor)センサーの開発を行った。その際に、ピロールのN原子上のメチレン鎖がセンサ感度と長期安定性に影響を及ぼす現象を確認した。さらに、酵素包括固定とReagentlessセンサーをより簡便かつ安価に行うための電解重合モデル分子としてアミノ酸導入ピロールに着目した。アミノ酸は、静電的・疎水的性質が異なる様々な種類が存在していること、取得が容易であることなどの特長を有している。本研究では、アミノ酸導入ピロールの酵素の固定へ及ぼす影響を評価するため、ピロールにアミノ酸としてアラニン、グルタミン酸をそれぞれ導入し、グルコースオキシダーゼ(Gox)の固定化を行った。 アミノ酸導入ピロール/ピロール共重合ポリマー内への酵素の包括固定を確認できた。さらに、アラニン導入ポリピロール電解重合膜を電極上に合成し、アラニン構造内のカルボキシル基にオスミウム錯体を導入した。グルコース存在下で電流応答が増加したことから、電解重合膜内に固定化されたオスミウム錯体が電子移動を媒介しているものと判断された。さらに、電解重合時のアミノ酸導入ピロールとピロールモノマー混合比、濃度、測定pHなどを最適化した。また、他の酵素の固定(Horseraddish Peroxidase)の電解重合膜内への固定にも成功した。
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