研究概要 |
本年度は、従来のEastern blottingの改良に取り組んだ。即ち、従来の方法ではTLC板で植物エキスを分離したのち、TLC板から各種成分をPVDF膜に転写する操作が必要であった。そこで、Eastern blottingの簡略化と定量分析における信頼性の向上を目的として、membrane chromatographyを採用することで簡略化し、測定時間の短縮を図った。加えて、新手法では膜への転写を伴わないため定量値に対する転写効率の影響を排除でき、定量分析法としての信頼性の向上が期待できると考えた。 ポリエーテルスルホン(PES)膜に一定量のジンセノシド並びに薬用人参エキスを塗布した後、TLCと同様に移動層を用いてジンセノシドを膜上に展開した。膜を乾燥した後、膜をNaIO_4溶液で処理しジンセノシドの糖部を開環し、その後膜をBSA溶液で処理することでジンセノシド-BSAコンジュゲートを膜上で作製した。続いて、従来のEastern blottingの手法により、一次抗体反応、酵素標識、基質との反応を行うことでジンセノシドを検出し、定量的な解析を試みた。染色した膜をスキャンし、続いてNIH Imageソフトを用いて、各スポットの面積を算出した結果、塗布したジンセノシド(0.0625〜4.0μg)と面積との間に良好な直線関係が得られた。今回開発した手法について、intraassay, interassayを行いその信頼性を精査した結果、ジンセノシドRb1,Rc, Rd何れのアッセイ系でも高い信頼性を確認することができた。実際に薬用人参エキス中の各種ジンセノシド含量を算出し、得られた値をHPLC法による定量値と比較した結果、高い相関関係が確認された。 以上のように、本年度Eastern blotttingの改良により簡略化と定量分析法の開発を計画通り遂行することができた。
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