研究概要 |
本年度は、Eastern blottingの更なる高機能化を目指し、モノクローナル抗体に代わる新規プローブの開発を行った。新規プローブとしては、抗体の可変領域をフレキシブルなペプチドリンカーで結合した小型化抗体を採用した。薬用人参の成分であるジンセノシドを認識するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマからm-RNAを抽出した後、相補的なDNAを合成した。抗体の可変領域の遺伝子(VH, VL)を増幅するための特異的なプライマーをデザインし、各々の遺伝子を続いて増幅した。増幅した遺伝子のシークエンスを行った結果、マウスのIgGの可変領域に相当する配列を有することを確認し、その配列を基にリンカープライマーを設計した。次に、overlap extension PCRを行い、VH, VL遺伝子を連結することで小型化抗体(scFV)遺伝子を作製した。作製した抗ジンセノシドscFV遺伝子を発現用ベクターpET28(a)に導入した後、これを用いて大腸菌BL21を形質転換した。形質転換したBL21についてIPTG添加によりscFvの発現を確認した結果、分子量30kDaのタンパク質の発現を確認することができた。発現したscFvの活性を確認するために、封入体に発現したscFvの巻き戻しを行った後、ジンセノシドータンパク質コンジュゲートを固相化抗原としたELISAを行った。その結果、抗ジンノセノシドscFVはモノクローナル抗体と同等の反応性を示すことを確認した。続いて、作製した抗ジンノセノシドscFVをプローブとしてEastern blottingを行った結果、ジンセノシド類を検出することに成功した。本研究課題で日的としたメンブレンクロマトグラフィーと新規プローブを採用した高機能化Eastern blottingに世界で初めて成功した。
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