研究課題
本年度は計画通り、金属結合を有する新規二核錯体の合成とその反応性、および既知触媒反応の反応機構の解明の3点について検討を行った。1.金属間結合を有する新規二核錯体の合成これまでに、当研究室で開発した窒素リン複合四座配位子を用い金属間結合を有する二核パラジウムアリル錯体の合成に成功しているが、今回置換基を有する様々な類縁体を合成することができた。その検討過程で入手容易な試薬から簡便に合成する手法も開発し、その手法を利用することにより新たに二核パラジウムプロパルギル/アレニル錯体の合成も達成することができた。また、新規二核ルテニウム錯体の合成に関しても精力的に取り組んだ。二核錯体と思われるものを低収率で得ることができたが効率的な合成法の開発には至らず、現在のところその構造は明らかにできていない。2.金属間結合を有する二核錯体の反応性予備調査においてイソシアニドを配位子に有する二核パラジウムカチオン錯体を合成している。今回この錯体の効率的な合成法が確立できたので、種々の有機化合物との反応性を調査した。その結果、イソシアニド存在下末端アルキンと反応し置換ピロールを与えることを見出した。現在この反応を利用した触媒反応の詳細について調査中である。3.既知C-H結合活性化の反応機構の解明以前に見出した芳香環C-H結合のアルキンへの付加反応の反応中間体は金属間結合を有すると推測されている。今回、この中間体あるいはその類縁体の単離について試みた。様々な検討をおこなったが残念ながら中間体と思われるものを単離することはできなかった。しかし、この研究の過程で本触媒反応がヘテロ元素を含む芳香環にも適用可能であることを見出し、新規ピロールおよびチオフェンの効率的合成法を開発することができた。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (1件)
Tetrahedron Letters 46,44
ページ: 7515-7517