• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

β-炭素脱離を経由する新規付加環化反応の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17750087
研究機関京都大学

研究代表者

松田 学則  京都大学, 工学研究科, 助手 (80359778)

キーワードβ炭素脱離 / シクロブタノン / ロジウム / フェノール / エステル / アレンイン / 白金 / ピロリジン
研究概要

本年度は2つのβ炭素脱離を経由する反応、1.ロジウム触媒によるアルコールおよびアミン類のシクロブタノンへの分子間付加反応、2.白金触媒によるアレンインの水和を伴う環化反応を開発した。
1.ヒドロキソ(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー(5mol%)、(R)-H8-BINAP(20mol%)から調製した触媒存在下、3-フェニルシクロブタノンと3当量の4-tert-ブチルフェノールをp-キシレン中130℃で加熱したところ、3-フェニル酪酸4-tert-ブチルフェニルが66%収率で生成した。本反応は、(i)ロジウムアルコキシドの生成、(ii)シクロブタノンのカルボニル結合への付加によるロジウムシクロブタノラートの生成、(iii)β炭素脱離によるアルキルロジウムの生成、(iv)β水素脱離/再付加によるロジウムエノラートの生成、(v)プロトン化分解を経由して進行していることが、重水素化実験などにより明らかになった。本反応はフェノールだけでなく、ベンジルアルコールや3-フェニルプロパノールなどでも進行し、対応するエステルを良好な収率で与えた。さらに、ベンジルアミンやモルホリンなどのアミンも3-アリールシクロブタノンと反応し、3-アリールブタナミドを与えた。
2.N-(4-メチル-2,3-ペンタジエニル)-N-(3-フェニル-2-プロピニル)トシルアミンを塩化白金(II)触媒存在下、メタノール中70℃で加熱したところ、3-ベンゾイル-4-イソブテニル-1-トシルピロリジンが78%収率で生成した。生成物はカラムクロマトグラフィーにより分離可能なcis体とtrans体の52:48混合物であった。トルエン中で反応を行った場合に生成した双環性シクロブテン誘導体の生成は全く観測されなかった。本反応の機構は、(i)白金(II)により活性化されたアレンインのアルキン部位とアレン部位とのendo環化による7員環中間体の生成、(ii)非古典的カルボカチオンの1つの共鳴構造であるシクロブチルカチオンによるメタノールの捕捉、(iii)3-メチレンシクロブチル白金からのβ炭素脱離によるアルケニル白金ヒドリドの生成、(iv)還元的脱離、(v)生成したエノールエーテルの加水分解からなっていると思われる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Synthesis of Silafluorenes by Iridium-Catalyzed [2+2+2] Cycloaddition of Silicon-Bridged Diynes with Alkynes2007

    • 著者名/発表者名
      Takanori Matsuda
    • 雑誌名

      Organic Letters 9・1

      ページ: 133-136

  • [雑誌論文] Enantioselective C-C Bond Cleavage Creating Chiral Quaternary Carbon Centers2006

    • 著者名/発表者名
      Takanori Matsuda
    • 雑誌名

      Organic Letters 8・15

      ページ: 3379-3381

  • [雑誌論文] Synthesis of 3-Acyl-4-alkenylpyrrolidines by Platinum-Catalyzed Hydrative Cyclization of Allenynes2006

    • 著者名/発表者名
      Takanori Matsuda
    • 雑誌名

      Helvetica Chimica Acta 89・8

      ページ: 1672-1680

  • [図書] Comprehensive Organometallic Chemistry III, Vol.102007

    • 著者名/発表者名
      Michinori Suginome
    • 総ページ数
      63
    • 出版者
      Elsevier

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi