研究概要 |
我々はこれまで、アミジン構造を有するポリスチレン誘導体存在下で2-アミノベンゾニトリルと二酸化炭素を反応させることにより、医薬品の合成中間体であるキナゾリン誘導体が合成できることを報告してきた^<1)>。今回、取り扱いが簡便で耐化学薬品性、機械的強度の向上が期待できるアミジン骨格が担持された架橋ポリスチレンビーズを用いて上記の反応を検討した。 アミジン骨格が担持されたポリスチレンビーズ存在下で、種々の2-アミノベンゾニトリル誘導体と二酸化炭素の反応を検討した。溶媒としてはNMRによる反応追跡の簡便さから重ジメチルスルホキシドを用いた。まず、アミジン骨格が担持されたポリスチレンビーズ存在下100℃で、2-アミノベンゾニトリルとCO_2の反応を行ったところ、対応するキナゾリン誘導体が高収率(91%)で得られることが分かった。2-アミノベンゾニトリルの5位に電子吸引基としてニトロ基が置換されると収率は低下したが(53%)、電子供与基としてメトキシ基が置換された場合には、ほぼ定量的にキナゾリン誘導体が得られることが分かった(95%)。これは、2-アミノベンゾニトリルの5位に電子吸引基が置換された場合にはアミノ基の求核性が低下し、電子供与基が置換された場合にはアミノ基の求核性が向上したことを反映したものと考えられる。さらに、一度反応に用いたポリマーを回収し再度反応に用いたところ、収率が低下することなく生成物が得られたことから(95%)、アミジン骨格が担持されたポリマービーズはリサイクル可能な高分子試薬として利用可能であることが示唆された。 1)永井大介,佐藤正人,遠藤 剛,高分子討論会予稿集,2X10(2004).
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