研究概要 |
1 高分子不斉ルイス塩基触媒としての利用を目的とし、キラルアミド構造を側鎖として有するポリマーの合成を検討した。塩化アクリロイルと(R, R)-bis(α-methylbenzyl)amine(1)を反応させることにより、キラルアミド部位にアクリロイル基が直接結合したモノマーを合成したが、キラルアミド部位の立体障害のため、1の単独重合およびスチレンとの共重合はいずれも進行しなかった。次に、キラルアミド部位とスチレンのパラ位とが-CH_2O(CH_2)_<10>^-スペーサーを介して結合したモノマー(2)の合成について検討した。11-プロモウンデカン酸とビニルベンジルアルコールとの反応により11-(4-vinylbenzyloxy)undecanoic acid(3)を合成した。塩化オキサリルにより3のカルボン酸部位を酸クロリドに変換したのちに、キラルアミン1と反応させることによりモノマー2を得た。このモノマーの単独重合について検討したところ、得られたポリマーはすべての溶媒に不溶であった。また、スチレンとの共重合についても検討したが、やはり可溶性のポリマーは得られなかった。 2 キラルスルホキシド基を側鎖として有するポリマーの合成について検討を行った。4・クロロメチルスチレンから合成したGrignard試薬と(S)-menthyl ptoluenesulfinateとの反応によりキラルスルホキシド含有モノマー4を収率56%で得た。モノマー4のラジカル単独重合および4とスチレンとの共重合について検討を行ったが、いずれの場合にもポリマーは得られなかった。 今後は新たな分子設計に基づき、重合可能かつ得られるポリマーが溶媒に可溶であるキラルアミドおよびキラルスルホキシド含有モノマーの合成について検討する予定である。
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