研究課題
末端にベンズアルデヒドを有する脂溶性の長鎖化合物を合成した。この化合物を用いて水中で油滴を作製し、これに対して、疎水末端にアニリンの結合した両親媒性分子をミセル水溶液として添加すると、油滴の表面あるいは内部が疎水反応場として作用してホルミル基とアミノ基の脱水縮合反応が進行し、ジフェニルアゾメチンを疎水部中央に有する単頭極性型両親媒性分子が生産されることが見出された。さらに、脱水縮合反応の進行にともなう油滴の動的挙動を光学顕微鏡によりリアルタイム観測したところ、反応の進行している部分より、ジャイアントベシクル様の膜が形成され、これにより油滴が自己推進運動をすることが明らかになった。また、油滴中に、ベンズアルデヒド基の結合したボラン-ジピロメタン錯体を蛍光プローブに用いて蛍光顕微鏡観測をおこなった結果からも、油滴の示す自己推進ダイナミクスが、自身を反応場として起こる脱水縮合反応によりことが確認された。一方、ジフェニルアゾメチンを極性部付近に有する単頭極性型両親媒性分子は、水中でイミン部が加水分解を受け、脂溶性の長鎖アルデヒドと水溶性のアニリン誘導体に分解されるが、それに伴い会合体の形態が、スモール・ベシクルからジャイアント・ベシクル、さらには油滴へと変化することが見出された。この一連の形態変化は、シッフ塩基誘導体から極性基を持たない分解生成物が生成するにつれ、会合体表面の曲率が変化することで理解される。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
Biological Sciences in Space 20・1
ページ: 10-14
ChemPhysChem 7・7
ページ: 1425-1427
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