本年度は、カプセル分子の水溶性を向上させる置換基を導入したホスホン酸塩を合成し、カプセル分子の構築を行った。水溶性を向上させる置換基としては、エチレングリコール鎖を用い、エステル鎖を連結部位に用いて側鎖に導入した。生成したカプセル分子は予想どおりに水溶性が向上していることが確認された。この新たに合成したカプセルの構造決定は1H-NMR、分子拡散NMR(DOSY-NMR)、 ESI-MSスペクトルによって確認した。このカプセル分子を触媒として用いたジメチルフェニルシランの加水分解反応を行ったところ、予想に反して加水分解反応が進行しないことが明らかとなった。これはカプセルの水溶性が向上することで、カプセルの生成定数(Ka)が低下してしまうためであると考えられるが、詳細は現在検討中である。今後は別の手法で水溶性を向上させることを検討し、触媒としての実用性を向上させる予定である。本研究成果は学術論文への投稿準備中である。
|