研究概要 |
近年,機能性材料として配位高分子錯体が注目を集めており,精力的に研究が展開されている.々は、これまでにトリエチルベンゼン骨格を有する配位子(2Py3Et3)が配位高分子錯体構築の優れたビルディングブロックとなることを見いだした.この配位子は分子内に金属を取り込む従来の配位子とはことなり,配位子により金属などの機能部位を均一に配置させることができる発散型の配位子である。この配位子を用いて様々な錯体を合成したところ,2価の金属を用いた場合には様々な連結様式をもつ高分子錯体が出られた.また,1価の金属用いた場合,例えば銅(I)を用いると非常に珍しい銅-ハロゲン6核クラスターが得られることが解った.結晶構造をみると,期待通り銅クラスタ部位が10.95Åの距離で均一に分散している2D-シート構造であった.さらに本錯体はUV照射により発光する特性をもつことが明らかとなった.これを発展させて、金属配位部位のピリジン環窒素原子の位置が異なる配位子(4Py3Et3)を用いてハロゲン化銅と錯体調製を行ったところ,これまでとは全く異なった構造の配位高分子錯体が得られた.ハロゲンの種類が塩素(Cl),臭素(Br)の場合は発光特性は観測されなかったが、構造的に珍しい四面体型のμ_4-架橋構造が存在していることが確認された.これに対しヨウ素(I)の場合は,発光特性が確認された.今後,この高分子錯体の発光解析を行っていく予定である.
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