研究課題
長寿命電荷分離への挑戦人工電荷分離系として未踏の長寿命電荷分離状態達成に向けて、亜鉛ポルフィリンをコアに持つフェニルアゾメチンデンドリマーの高世代化を試みた。コアユニットを従来のフェニルポルフィリン型からビフェニルポルフィリン型へと拡張することによって高収率で第5世代の合成に成功した。以上は剛直タイプデンドリマーの高世代化に向けた合成戦略として極めて重要な位置付けであり、新規なDense-Shell型高分子の設計指針としても大きな意味を持つ。本デンドリマーを光増感剤として光誘起電子移動により電荷分離形成を試みた結果、見かけ寿命は15msまで到達した。新しい光増感触媒としての展開亜鉛ポルフィリンを励起色素とした色素増感型光導電素子を作製し、本デンドリマーの電荷分離機能に基1づく光増感特性について検証を行った。バインダー樹脂(ポリカーボネート)にデンドリマー及び電子輸送担体を均一分散して製膜し、膜厚、電子ドリフト移動度、相分離などの条件を一定化することによって、各世代デンドリマーにおける光導電特性より、キャリア(電子)発生効率の定量的評価を実施した。結果として明確な高世代化に伴う高効率化(第4世代で20倍)が観測され、本デンドリマーが光増感能の向上に大きく寄与できることが判明した。バインダー樹脂を排した超薄膜(d=30nm)の作製にも成功し、極めて高速応答かつ高感度の光応答デバイス作製に成功した。本研究で得られた知見は、光導電素子のみならず、有機薄膜太陽電池等のエネルギー変換素子の高効率化へも大きな可能性を示唆している。
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