コンビナトリアル合成を行うため複数試料をパラレルに合成するシステムの設計・製作として、今年度は赤外線ランプ加熱による温度勾配加熱を試みた。15mm角の基板上において温度勾配をつけた加熱が可能であることを確かめた。材料合成としては、新しい二酸化炭素吸収材料であるリチウム複酸化物系のリチウムフェライトの合成を試みた。これまで固相反応によってα型結晶が得られることがわかっていたが、他の結晶構造のものを水溶液からの低温合成で作製することを試みた。しかしながら目的のフェライトを得ることはできなかった。つづいて、クリーンなエネルギー水素を発生することのできる光触媒の合成を試みた。亜鉛複酸化物の低温合成を、合成温度をパラメータとするコンビナトリアル合成によって行った。この基板について高速X線イメージングの新技術を活用して評価を行った。シンクロトロン放射光を用いて、基板上に配列した複数の試料について個々のX線吸収微細構造スペクトルを短時間で測定し、生成物の同定を行った。これによって目的の複酸化物が得られる温度を決定した。結論として、350℃程度の低温度で目的複酸化物の微粒子が合成できることが確かめられ、紫外線照射のもと、水を分解して水素を発生できることが確かめられた。本年度はさらに、既往の概念にとらわれない新しい二酸化炭素削減法として、金属を二酸化炭素吸収材料として利用する研究についても着手した。高い効率で吸収・固定化ができることが確かめられ、さらに二酸化炭素吸収にともない水素の発生も可能となることを確認し、今後有効な環境・エネルギー技術となる可能性を示した。
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