研究概要 |
生物資源であるジカルボン酸(コハク酸やアジピン酸)とジオール(1,4-ブタンジオールなど)との縮合反応により調製したオリゴマーを、クロマト分離によって単一分散エステルオリゴマーとして分別回収し、この単一分散エステルオリゴマーとジアミン(1,4-ジアミノブタンなど)を縮合させるという手法により、目的とする周期性ポリエステルアミド共重合体の合成を行った。二段階目の縮合反応(エステルオリゴマーとジアミンとの縮合反応)において、平衡を鎖長伸長側に移動させることを目的として、エステルオリゴマーの反応性分子末端をフェニルエステル化処理を施した。フェニルエステル化したエステルオリゴマーを用いることにより、生成物の分子量が格段に上がり(数平均分子量2万以上)、フィルム成型可能な高分子量物を生成することに成功した。 ジオール成分およびジアミン成分の炭素鎖数をそれぞれ3〜6の間で変化させ、それぞれの組み合わせにより、合計8種類の周期性ポリエステルアミド共重合体を調製し、その熱的性質と結晶構造解析を行った。ポリエステルアミドの融解温度は、ジオール・ジアミンの炭素鎖数の組み合わせおよびエステル・アミドの連鎖長により大きく変化した(45〜258℃)。しかしながら、いずれの共重合体もエステルユニットのみから成る高重合物の融解温度よりも高温で融解することを明らかにした。これは、周期的に導入したアミドユニットがエステルユニットとともに結晶中に取り込まれ、分子鎖間水素結合を形成したためであると結論できる。特に炭素数4のジオール・ジアミンを用いた場合に、極めて高温領域(200℃以上)で融解がおこることがわかった。これは、炭素数4のジオール・ジアミンの組み合わせが、ポリエステルアミド結晶中の分子鎖間水素結合を最も効率的に形成できるためであることがわかった。
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