地球温暖化の一因とされる二酸化炭素(CO_2)を効率的に除去する方法の一つとして、中温環境下でのCO_2の化学的吸着が挙げられる。CO_2除去が可能な物質の一つである酸化カルシウム(CaO)は中温域からCO_2と反応して炭酸カルシウムを生成するため、化学吸着法に有効な物質の一つであるが、CaO粒子のみでは、CO_2の吸着・脱離反応の繰り返しによって、粒子の成長および凝集が発生して、その表面積が低下して吸着能は減少する。そこで本年度では、まずCaO粒子をセラミックス多孔体内部に分散させた複合多孔体の作製条件を調査し、その微細構造の観察・評価を行った。 CaO粒子を組み込むセラミック多孔体には、Cs-リューサイト化合物(Cs-アルミノケイ酸塩化合物)を用いた。CsNo_3粉末とAl_2O_3/SiO_2微粉末からなる原料混合粉末を中温で焼成して得られるこの化合物の非晶質仮焼粉末は、この粉末からなるバインダーなしで作製した成形体を常圧1400℃で焼成することで緻密な焼結体が得られるほど、焼結性の高い粉末であった。そこで、中温域で仮焼した粉末と気孔形成剤であるポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いて得られた成形体を1200〜1400℃で焼成したところリューサイト粒子間がよく焼結された多孔体を作製できた。PMMA添加量を120wt%(vs.リューサイト粉末)とし、1200℃で焼成した多孔体は気孔率69%程度であった。この多孔体に5mol/LのCa(NO_3)_2水溶液を含浸させた後、熱処理によりCaO粒子をリューサイト多孔体内に16wt%程度組み込むことができた。このCaOは粒径50mm程度のナノ粒子からなる凝集体であった。
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