負イオン評価装置を整備した。これは、真空中や気相中において、固体電解質と引き出し電極間に電場を印加することによって、固体電解質から放出される負イオンを検出でき、またデバイス構造や固体電解質候補材料を迅速に試験できるように考慮されている。 装置の動作試験を兼ねて、これまでに、μA-cm^<-2>級のO^-イオン放出が確認されているC12A7多孔質焼結体について検討した。その結果、負イオン放出に必要となる電場が、表面部のみにしか印加されないために、材料中のほとんどの部分からは、負イオンとしてではなく、中性の酸素分子が放出されてしまう事が明らかとなった。それにもかかわらず、700℃の加熱200V/cm程度の電場によって、μA-cm^<-2>級のO^-イオン放出が確認できるため、該材料の有効性を確認した。 以上の結果から、安定かつ継続的にO^-イオンを生成させるためには、緻密な固体電解質を用い、かつ放出面側に電場によって酸素供給がされるように電極を追加設置するべきであるという指針を得た。この結論は、本研究において提案している三極デバイス構造の妥当性を支持している。 三極構造のデバイス構造の有効性を検証するために不可欠となる、固体内部に埋めこんだナノサイズ多孔質電極の形成を検討した。その結果、幾つかの製膜と熱処理工程からなる、好適な埋めこみ電極を形成するためのプロセスを確立することが出来た。
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