研究課題
オゾン層の破壊などに起因する紫外線量の増大にともない、紫外線モニタリング技術に対する要求が高まっている。一般に紫外線の検出には、GaP、GaAsP、GaN、Si等の半導体が利用されている。しかし、これらは毒性のあるAsや希少なGaを含むことから、将来性に懸念をもたれている。またSiは、天然資源としては大量に存在するが、その精製や単結晶育成、薄膜化に複雑な工程を要するため、多大なコストや製造エネルギーを必要とする。したがって、有害物質を含まず環境にやさしい紫外線センサーを低コストで製造する技術の開発が望まれている。本研究は、資源量が豊富で強い毒性を持たない元素から構成される半導体薄膜を用いたpin型の新規紫外線センサーの開発を目的とする。目標とするセンサーの感度は、太陽光中で日焼け及び皮膚ガンの原因となるUV-B(280〜320nm)域に高い感度を有するものとする。本研究で着目している物質は、主としてSnO_2、TiO_2、CuO、A1_2O_3等、資源量も豊富で比較的毒性も少ない物質である。また、製膜法として化学的手法に分類されるスプレー熱分解(SPD)法を採用する。SPD法の利点は、(1)大気中製膜により装置構成が簡便で取り扱いやメイテナンスが容易(2)大面積基板(30cm×30cm)への適用が可能で工業的手法として優れる(3)原料の選択により低温形成(200〜300℃)や形成膜の表面形態制御が容易(4)高速製膜が可能(最高2μm/minを実現)等、挙げられる。本年度はi層となるTiO_2層の表面形態の制御を試みた。予備実験で利用した有機チタン原料に比べ、塩化チタンを利用すると350℃程度の低温で製膜可能であることを確認し、さらに添加剤により結晶粒の粒径を数百nmまで成長させることができた。同時にTiO_2のキャリア濃度を適切に制御することにより、センサーの感度をこれまでの1.5倍に向上させることができた。
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