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2006 年度 実績報告書

高分子のシシケバブ構造形成過程の中性子散乱を用いた観察

研究課題

研究課題/領域番号 17750203
研究機関京都大学

研究代表者

松葉 豪  京都大学, 化学研究所, 助手 (10378854)

キーワードシシケバブ構造 / 高分子 / せん断流動 / 結晶化
研究概要

高分子の流動結晶化過程を,小角中性子散乱・小角X線散乱・光散乱,顕微鏡などを用いて観測した.まず,高分子量成分に軽水素化ポリエチレンを,低分子量マトリックスとして重水素化ポリエチレンを用いたブレンドサンプルの小角中性子散乱のその場測定を行った.せん断方向に積み重なったラメラ晶であるケバブ構造が成長する前に,せん断方向に比較的よく配列したミクロンオーダーの構造が形成していることをその場測定ではじめて示した.観測されたミクロンオーダーの構造は,主に分子量の大きい超高分子量成分からなっていることを示すことができた.超高分子量成分はせん断によって応力がかかるため,高分子鎖が引き伸ばされ,ミクロンオーダーの構造が形成するものと考えられる,このことは,光散乱測定によって,配向結晶構造であるシシケバブ構造が生成するよりも先にミクロンオーダーの配向構造が観測された結果と一致している.さらに,光散乱や小角X線散乱・光学顕微鏡を用いて流動場にて観測される構造について詳細に調べ,中性子散乱測定によって得られた結果と比較した.まず,融点より十分高い温度でせん断を印加するという条件では,結晶構造は観測されずに,ミクロンオーダーの液晶的な構造が観測された.また,超高分子量成分の濃度と結晶化温度を変化させた際の構造形成過程を小角X線散乱測定で調べ,せん断によって引き伸ばされた超高分子量成分の結晶化速度と緩和速度に依存していることを示した.超高分子量成分の濃度が高い場合は,結晶化温度が高くても,結晶化速度に比べて緩和速度は遅く,シシケバブ構造が形成する.しかし,超高分子量成分の濃度が低く,結晶化温度も高い場合,緩和速度のほうが結晶化速度よりも大きくなるため,等方的な成長のみが観測された.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] 琉動場における高分子結晶化 -繊維構造生成機構の解明を目指して-2007

    • 著者名/発表者名
      金谷利治, 松葉 豪, 西田幸次
    • 雑誌名

      繊維学会誌 63

      ページ: 58-62

  • [雑誌論文] Precursor of Primary Nucleation in Isotactic Polystyrene Induced by Shear Flow2007

    • 著者名/発表者名
      Kanaya T, Takayama Y, Ogino Y, Matsuba G, Nishida K
    • 雑誌名

      Lect.Notes Phys. 714

      ページ: 87-96

  • [雑誌論文] Effects of high molecular weight component on crystallization of polyethylene under shear flow2006

    • 著者名/発表者名
      Ogino Y, Fukushima H, Takahashi N, Matsuba G, Nishida K, Kanaya T
    • 雑誌名

      Polymer 47

      ページ: 5669-5677

  • [雑誌論文] Crystallization of Isotactic Polypropylene under Shear Flow Observed in a Wide Spatial Scale2006

    • 著者名/発表者名
      Ogino Y, Fukushima H, Takahashi N, Matsuba G, Nishida K, Kanaya T
    • 雑誌名

      Macromolecules 39

      ページ: 7617-7625

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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