研究概要 |
我々が独自に開発を進め、特に半導体ナノ構造材料の分光解析手法としてその有効性を示してきた"STM-電場変調分光法"を、さらに一分子の電子状態ならびに構造を明らかにし得る計測技術へと高度化することを目指した技術開発を行っている。その第一段階として本年度は、試料分子の電場変調を安定して行うための回路設計と、変調電場に対する分子の周波数応答を高いS/N比で検出・解析するための測定システムを構築した。具体的には、(1)STMバイアス電圧に低電圧振幅で高速に安定して変調をかけることができるような回路設計,(2)STMトンネル電流上に微少変化として現われる分子の応答を感度良く検出するための電流/電圧アンプの改良,(3)変調電場に同期した分子応答ならびに高調波成分として現われる分子応答をS/N良くとらえるためのロックインアンプを導入した信号検出系の構築を行い、システムとして数pAレベルの応答を検出できる性能を得た。次年度は、この測定システムを用いて一分子の測定に着手する。
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