成果1)U字型をしたチューニングフォーク(以下TF)を電極パターンしたガラスエポキシ基板の上に固定し、突き出した腕の1つに探針となるタングステンワイヤーを導電性ペーストで接着し、検出部を作成した。検出部を電子顕微鏡の試料室に設置した四探針機構のアームで保持し、ピエゾ素子を用いて加振した。TFには10^9V/Aのゲインをもつ電流-電圧変換アンプを接続し、TFが振動することによって生じる電荷の移動を検出できるようにした。このときに生じた出力信号の振幅をロックイン検出することによって探針先端が感じる力の検出を試みた。共振周波数で加振し振幅をモニタしながら、探針を金属試料に接近させていった。振幅成分が減少した後加振を止めて、探針-試料間で電流-電圧特性を計測した結果、この手法により電気的接触が可能であることを明らかにした。 成果2)カーボンナノチューブ(以下CNT)を用いて電気計測ができることを確認するために、化学エッチングしたタングステン探針の先端に多層CNTを取り付け、走査型電子顕微鏡内で四探針測定を実施した。その結果カーボンナノチューブ探針は、金属探針-CNT接合部分に数百kΩ〜数MΩにも及ぶ大きな接触抵抗が存在し、この接触抵抗が四探針法の要である微小電位差計測を困難にすることがわかった。この問題に対して電位計測にブリッジ回路と同様の原理に基づく零位法(null method)により、これを克服できることを明らかにし、電位計測区間を400nmとしても、CNT探針を用いることで金属薄膜上においても電位差計測を可能にした。
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