研究概要 |
酸化亜鉛についてはこの数年で高移動度TFTの活性層として有効性が実証され、アクティブマトリックス液晶ディスプレイ用のTFTアレイとそれを用いた液晶表示装置の原理実証が行われている。しかし、rfマグネトロンスパッタリング法によるZnO薄膜について、液晶ディスプレイなどを含めたデバイスとして必要とされるようなガラス基板上における膜厚50〜100nm程度での研究はまだ十分ではない。 本年度はITO電極上とガラス上に成膜されたZnOの結晶性をX線回折によって比較を行った。その結果、ZnO薄膜の結晶性はガラス上に成膜された場合の方が良好であるということがわかった。にもかかわらず、オージェ電子分光、二次イオン質量分析法により、ZnOの初期成長過程におけるアイランド成長-連続膜成長の変化が、膜厚5nm-10nmの領域においておこることがわかった。また、その結晶性は、AFM画像によって得られた粒径が小さい方が良いという結果が得られた。以上の結果を2006年春季応用物理学会で発表を行った。その成果を論文としてまとめ、投稿準備している。今後も、酸化亜鉛の下地層上の結晶成長過程を詳細に評価する必要がある。 ZnO薄膜のESRを含めた詳細な評価に対しては、基板の選定を行い、室温〜20Kの温度域でESR測定を行った。測定されたESR信号の分離を試みている。 今後、格子欠陥などの酸化亜鉛の構造及び酸化亜鉛の表面また金属等との界面に関して研究を進めていく。 参考文献 T.Hirao, M.Furuta, H.Furuta, T.Matsuda, T.Hiramatsu, H.Hokari, M.Yoshida, M.Ishii, M.Kakegawa, Novel top-gate zinc oxide thin-film transistors (ZnO TFTs) for AMLCDs, J.SID, vol.15, p.17-22, (2007)
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