研究概要 |
本研究では,並列光変調デバイスと高機能な回折光学素子(DOE)を組み合わせた動的光パターン生成方法を開発し,ハイブリッド光マニピュレーションに応用して有用性を示すことを目的とする.並列光変調デバイスには,空間光変調器(SLM)または並列アレイ光源(VCSEL)を採用し,各方式の特長や問題点を明らかにする.本年度の研究により得られた成果・知見は以下のとおりである. 1.VCSELアレイ光源を用いた光マニピュレーションシステムの光量効率を改善し,三次元並列物体輸送の性能を向上した. 2.並列光変調デバイスにより局所的かつ動的なパターンを生成し,DOEにより広範囲のパターンを生成することにより,効率的かつ動的に光パターンを制御する手法について検討した.この方法では,各デバイスの変調パターンを独立に設計することが可能である. 3.異なるスポットアレイを生成する3種類の4レベルDOEを設計・作製した.DOE単独での回折効率は60%程度,一様性誤差は5%以下であり,光マニピュレーションに十分な性能を有することを確認した.また,これらのDOEとSLMを組み合わせた並列光マニピュレーションシステムを構築し,設計通り光パターンを生成・制御できることを実証した. 4.DOEの導入により,SLMによるスポットアレイパターンを複数の位置に複製して得られる光パターンを用いて,マイクロビーズを対象とした光マニピュレーション実験を行った.生成されるすべてのスポットでビーズを捕捉し,並列輸送することに成功した.この結果は,簡便な手法により,複数の領域で全く同じ局所的な操作を同時実行できることを示している.また,SLM単独使用時と,SLMとDOEを組み合わせた時について,光マニピュレーション可能なスポット間隔を測定し,今回のシステムでは,DOEの利用により,操作可能領域を2倍以上に拡張できることを示した.
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