平成18年度は、スズナノ粒子を混入した数10ミクロンの直径を有する液体ジェットターゲットおよび液滴ターゲットを用いて、レーザー生成プラズマからの軟X線発生の高効率化に関する研究を行い、卓上型軟X線光源の実現に向けた研究を行った。 液体ターゲットを真空容器中央に連続的に供給し、軟X線がが背景雰囲気ガスにより再吸収されないように、真空容器の圧力を1Pa以下に保った。軟X線は斜入射分光器および較正されたエネルギーメータにより時間積分スペクトルおよびエネルギーを観測した。 この研究を通して、予備プラズマを生成することの有効性が明らかになったと考えている。予備プラズマの生成には、同じくレーザーを用いる。つまり、レーザーを2つ用いて、予備パルスと主パルスに適当なパルス間隔(遅延時間)を設けて液体ターゲットに照射することが、軟X線発生の高効率化に有効であることが分かった。 液体ターゲットには平均粒径6nmの酸化スズナノ粒子を混入した。スズは波長13.5nm領域の軟X線を効率よく発生できることができる。このターゲットに、波長532nmのナノ秒領域の予備レーザーパル液体ターゲットに集光照射し、予備プラズマを生成する。予備プラズマはこのレーザーパルス照射後に膨張し、密度が低下する。平均密度が主パルスの波長1064nmで決まる臨界密度程度となる約100ns程度の遅延時間を設けて予備プラズマに集光照射する。その結果、予備プラズマと主パルスのエネルギー結合が効率よく起こることにより、軟X線を効率的に発生できることが明らかとなった。その変換効率は約1.2%であった。
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