研究課題
高度情報化仕会の基盤となる全世界規模の光通信ネットワークは既に不可欠なインフラストラクチャとして定着しつつあるが、伝送時における情報セキュリティ問題は現在未解決のままである。本研究では、新たな概念である情報理論的セキュリティに基づく暗号鍵発生方式を提案し、超高速レーザカオスを用いてこれを工学的に実装することを目的とし、以下の成果を得た。(1)半導体レーザ実験装置の構築本セキュリティ方式を実証するために、半導体レーザ実験装置の構築を行った。数百ミクロンの大きさである半導体レーザを固定するための銅製ホルダーや、数mm径の集光用レンズの設計・製作を行った。レーザが安定に発振するためにこれらの周辺機器は非常に重要であり、約半年を要して完成した。現在では半導体レーザの安定発振が達成され、今後のセキュリティ実証実験へと繋がる成果となっている。(2)レーザカオスを用いた物理乱数生成セキュリティシステムでの暗号鍵の生成には真性乱数を用いることが望ましい。GHzオーダーで超高速振動する半導体レーザカオスは物理乱数生成器として利用可能であり、本研究ではレーザカオスを用いた乱数生成シミュレーションを行った。二つの独立したカオス波形を周期サンプリングし、しきい値処理によりデジタル化した後、排他的論理和を計算して二値乱数列を生成した。1Gビットの二値乱数列に対して、国際標準的な乱数検定方式NIST Special Publication 800-22を適用し、15種類の項目から成る乱数検定を行った。その結果13種類の項目に合格することができ、レーザカオスからランダム性の高い乱数列を作成することに成功した。(3)半導体レーザカオス同期新たなセキュリティ方式としてカオス波形にデータを直接埋め込む方式が提案されており、これはカオス同期を用いることで復号化が可能となる。本研究では直交偏光フィードバックを有する二つの半導体レーザ間のカオス同期のシミュレーションを試みた。その結果、パラメータ偏差に対してロバストなカオス同期が達成可能であることが明らかとなった。さらにレーザ発振周波数差や結合強度を変化させたところ、二種類のカオス同期が存在することを明らかにした。
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IEEE Journal of Quantum Electronics vol.42,no.3
ページ: 342-350
レーザー学会第26回年次大会、大宮
第53回応用物理学関係連合講演会、東京
2006年 電子情報通信学会総合大会、東京
2006年 電子情報通信学会総合大会
The European Conference on Lasers and Electro-Optics 2005 and The European Quantum Electronics Conference 2005 (CLEO/Europe-EQEC 2005), Munich, Germany
International Conference on Quantum Electronics 2005 and the Pacific Rim Conference on Lasers and Electro-Optics 2005 (IQEC/CLEO-PR 2005), Tokyo, Japan
The 10th International Superconductive Electronics Conference (ISEC 2005), Amsterdam, Netherlands
2005 International Symposium on Nonlinear Theory and its Applications (NOLTA 2005), Bruges, Belgium
International Symposium on Complexity Modelling and its Applications, Tokyo, Japan
Second 'Rio de la Plata' Workshop on Noise, Chaos and Complexity in Lasers and Nonlinear Optics, Uruguay
ノンリニアサイエンスワークショップ、函館
2005年 電子情報通信学会ソサイエティ大会、札幌