研究概要 |
1.放射線電池用半導体電極,および放射線のセルの設計 半導体電極に関しては,安定した起電力を得るためには,電極はγ線(またはX線)などの放射線による損傷が少なく,かつ,放射線によって発生する電子-正孔にもとづく起電力によっても自己溶解することがない物理的・化学的に安定な電極であることが必要である.具体的にはアノードとして二酸化チタンTiO_2などの電極を用い,溶液との接触面積を大きくするために多孔質の二酸化チタンとする.カソードには黒鉛や白金を試し,電解質にはヨウ素/ヨウ化物イオン,具体的にはヨウ素/ヨウ化カリウムの混合溶液を用いる. 本電池の原理は次の通りである.放射線が照射されるとアノードの半導体電極が励起され,二酸化チタンの電位は負となる.一方,二酸化チタンの基底準位にできた正孔に電解質中のI^-が電子e^-を渡し,3I^-→I_3^-+2e^-の酸化反応が進み,カソードはこのI_3^-に電子を取られ,正の電位を示す. 本研究ではアノードとして用いられる二酸化チタンを作成し,放射線の代わりとして,紫外線ランプを用いて起電力の生じるのを確認した.これはよく知られている本田・藤島効果によるものである.本来の目的である放射線では今後実験の予定である. 2.放射線電池用セルの設計 使用されるセルは,放射線が半導体電極に可能な限り効果的に当たり,かつ,水の放射線分解などの影響を排除するために放射線が水溶液にはなるべく当たらないように遮蔽を施したセルを設計した.
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