研究概要 |
現在,SASE型のX線自由電子レーザー(SASE-XFEL)の開発がSLAC(アメリカ),DESY(ドイツ),SCSS(日本)等で競って開発されている.これらにより,原子オーダー分解能のシングルショット生体イメージングや,構造変化の超高速時分割計測といった,未踏の研究領域の飛躍的な発展が期待されている.SASE-XFELは,線形加速器ベースのシンクロトロン光源であるが,X線のパルス幅のシングルショット計測は,光源・光学系の性能計測のために必須であり,運転条件の最適化を図るためにも不可欠である.また,短パルス照射実験において,特に非線形現象が関わる場合は,精確なパルス幅の情報が必要となるのは当然である. 本研究では,パルス幅計測のために,高分解能かつシングルショット計測を可能とする,波長分散型のスペクトロメータの開発を行う.本年度は,2つの異なった光学系について検討を行い,次のような結果を得た. 1.高精度ミラーと波長分散用完全結晶を組み合わせたスペクトロメータを構築し,放射光を用いた評価実験を行った.この結果,理論通りの良好な性能が得られることを確認した.さらに,SASE-XFELに適用した場合の理論的な考察を行い,シングルショットパルス幅計測の目的が達成できることを明らかにした. 2.高精度湾曲結晶の開発を行った.歪みとスロープエラーを十分低減させる目的で,従来とは異なった新たな溝形状をもつテストピースの製作を行った.
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