研究概要 |
1.IBDD-DIAG法に基づく大規模固有値ソルバの定式化 大規模固有値問題に対しては,精度を十分に得られているかを判断することが重要であるため,関連研究の調査を十分に行ったことで,固有値の残差を容易に得ることが可能である共役勾配法に基づく手法が最適であることが得られた.さらに,これまで大規模問題向けの高速解析手法であるIBDD-DIAG法を適用することで,大規模固有値問題向けの解析アルゴリズムの定式化が得られた. 2.数千プロセッサ上で高い並列効率を実現する並列アルゴリズムの開発 大規模固有値ソルバの基礎となるIBDD-DIAG法について,地球シミュレータへの実装を行った.Flat型並列と呼ばれるMPIのみによる並列処理とHybrid型並列と呼ばれるMPIとPOSIXスレッドによる並列処理の2種類の実装を行い,性能比較を行った.これにより,IBDD-DIAG法ではMPIのみによる並列処理によって高い並列性能を得ることに成功した.本手法は,最高2,048プロセッサまでにおいて高い並列性能が得られた. 3.実際の設計に利用可能な地球シミュレータにおける大規模問題解析の実現 実際の大規模構造物を細部まで詳細にモデル化を行った約2億自由度問題に取り組み,IBDD-DIAG法と地球シミュレータ2,048プロセッサを用いることで,構造計算を実用時間内で行うことに成功した.これにより,地球シミュレータを用いることで,1億自由度規模モデルを用いた固有値解析が実現可能であることが得られた.
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