光機能性材料の中には、外力や残留応力といった"力"の作用により、その機能性に変化が生じる場合がある。本研究では、このような光機能と力の関係を利用し、微小機械要素や強電磁環境など、通常の応力・ひずみ測定法が適用できない場所においても、応力・ひずみの測定がビジュアル的に行えるような手法の開発を目指す。本年度は、まず、光機能性材料として、BTGガラスセラミックスを供試材とし、応力と光機能性の相関について調べた。とくに、円孔やノッチ近傍の応力分布が急峻な場所における光機能性の変化を調べた。しかし、今回の負荷条件範囲では、光機能に顕著な影響が認められず、今後は、負荷形式・方法を工夫し、破壊応力以下で応力が機能性に及ぼす影響を定量的に評価する。ほかに、疲労負荷により生じる損傷、たとえば、マイクロクラックが機能性に及ぼす影響を調べた。ビッカース圧子を押込んだ試験片を準備し、疲労負荷を加えた結果、疲労き裂の進展が認められた。今後は、機械的な疲労と機能性の関係について検討を進める。ほかに、弾性域内の負荷応力によっても発光する、応力発光セラミックスについてもひずみ測定の可能性を調べた。応力発光材として大光炉材製のTAIKO-Ml-1を用いた。この材料の発光スペクトルは520nmで、緑色の可視光を発する。エポキシ樹脂に対して0.01mass%の応力発光体材を混合し、それを金属板上面に塗布し、疲労試験機を用いて4点曲げの繰返し曲げ荷重を負荷した。その結果、発光現象を確認することができた。しかし、塗付した樹脂と被測定物(すなわち、金属板)の界面ではく離が生じる場合があった。今後は、さらに他の樹脂材料についても検討し、適切な材料の選定とそれを用いて応力と光機能の定量的な評価を行う。
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