研究概要 |
本研究では,中間層を介して接合された異種接合材料について,自由縁特異応力場に中間層の存在が及ぼす影響および中間層挿入による自由縁応力特異性の低減・消失の効果について検討を行う.平成17年度は,直交異方性を持つ材料からなる異種接合材料を対象として,その接合界面に中間層が存在する場合に,その中間層が接合界面端に生じる自由縁応力特異性に与える影響について境界要素法を用いた数値的検討を行い,以下のような研究成果を得た. (1)中間層厚さが小さい場合,界面端から中間層厚さ程度離れると,界面上の応力分布は中間層をはさまない場合の応力分布とほぼ等しくなる.すなわち,等方性材料を用いた異種接合材料の場合と同様に,中間層が応力分布に与える影響は界面端から中間層厚さ程度の範囲内に限られることがわかった.また,界面端近傍の応力分布は適当な基準化を施すことにより中間層厚さにかかわらず一つの曲線で表すことが可能であることが明らかとなった. (2)直接接合すると自由縁応力特異性が生じる材料の組合せに対して,中間層としてはさむ材料を選択することにより,片方あるいは両方の接合界面端に生じる自由縁応力特異性を消失させることが可能であることが明らかとなった. 以上のことを用いると,異方性材料からなる異種接合材料についても,ある中間層厚さに対する界面上の応力分布を求めることができれば,他の中間層厚さに対する接合界面上の応力分布を推定することが可能であると考えられる.また異種接合材の強度上問題となる自由縁応力特性を,適当な材料を中間層として挟むことにより,低減あるいは消失させる二とが可能であると考えられる.
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