研究概要 |
まず,微小な圧痕を規則的に配列しためっき基板を作製するために,金属に超硬製の打刻針にて写真などの画像データを印刷するメタルプリンタを採用した.これにより,鏡面仕上げを施したステンレス板に直径が約75μmの円錐状圧痕を間隔100μmで等間隔に配列させることが可能となった.また,打刻力を調整することで,圧痕の密度を変化させることも可能となった. 次いで,高圧測定を可能にするために,高い硬さが得られる金属薄膜について検討した.すなわち,硫酸ニッケルを主体とするめっき液にりん酸とホスホン酸を添加しためっき液を採用した.このめっき液にて得られる電着ニッケル合金薄膜は,加熱処理により析出硬化し,硬さが上昇するので,種々の加熱温度で薄膜を加熱処理し,マイクロビッカース硬さ計にて硬さを測定した.この結果,加熱処理を実施しない場合のビッカース硬さが516であるのに対して,400℃で加熱処理したものは,837にも達した.したがって,この薄膜を用いれば,高圧力測定の可能性は十分あるものと考えられる. さらに,メタルプリンタにて等間隔に圧痕を作製しためっき基板に銅めっきを施し,これを基板から剥離し,微小な突起を有する銅薄膜(ビッカース硬さ128)を作製し,どの程度の圧力測定が可能であるか調査した結果,300MPa程度の圧力測定が可能であることが明らかとなった.そこで,この銅薄膜よりも格段に硬さの高い上述のニッケル合金薄膜を採用すれば,GPaオーダの圧力測定も十分可能であるものと考えられる.
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