研究概要 |
摩擦圧接法は,高性能・高機能製品を作製するための有効な溶接法の一つであるが,同法は回転摩擦運動を利用して接合を行うため,高速回転に耐えられない長尺材や,大重量部分および非対称重量部を有する素材の接合には適さない.また,角棒同士のように接合面の角と角とを一致させる,すなわち主軸の回転位相を一致させて停止させることができないため,これら素材の接合にはほとんど適用されていない.そこで,これらを解決する方法としてセンタードライブ方式の摩擦圧接(以下,CDFWと記す)法の適用が考えられる.本研究では,中央片長が10mm程度となるような短片を有するCDFW装置を開発して低入熱異材接合技術を確立することを目的とした.その中で本年度は,昨年度の研究の中で作製したCDFW装置を用いて軟鋼角棒同士の接合を行った.その結果,適切な接合条件および中央片の形状を用いることで位相制御することなく,かつ接合邦に欠陥がほとんどない状態で母材と同等の引張強度を有して母材部から破断する継手が容易に作製できること明らかにした.また,軟鋼丸棒同士の接合を行ったところ,最適な肉厚および形状の中央片を用いることで初期トルク到達後の発生する摩擦トルクによって中央片に対して周方向せん断破壊を生じさせ,これにより回転動力を自動的に遮断させることができた.そして,得られた継手の引張試験を行ったところ,接合邦に欠陥がなく,かつ母材と同等の引張強度を有して母材部から破断する継手を得ることができた.すなわち,CDFW法によって低入熱状態で健全な継手が作製できることを示した.さらに,異材接合を行うための基礎実験として,-般的な方式の摩擦圧接装置を用いて鋼材/アルミニウム系材料,鋼材/鋼系材料の組合せについてその接合現象を観察するとともにこれらの異材`継手を作製した.そして,どちらの組合せでも初期トルク到達以降の摩擦時間で母材部から破断するような良好な継手が得られる可能性を得た.
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