高度情報化社会の発展に伴い、LSI(大規模集積回路)のさらなる高密度化が求められている。LSIの高密度化を実現するには基板の高精度平坦化が必要不可欠ある。本研究では、単結晶ダイヤモンドバイトを用いた超精密切削技術によりLSI基板を高精度に平坦化する技術(プラナリゼーション)を開発することを目的としている。平成17年度では、以下の研究を行った。 1.切削抵抗・切削温度の超精密計測システムの構築 金バンプ切削バリの生成機構を調べるために、水晶圧電式3分力動力計を用いて微小な切削抵抗を精密に測定した。また、レジスト切削における切りくず溶着や表層剥離を抑制するために、高感度でしかも測定ポイントを自由に設定できる光ファイバ式赤外線非接触温度計を使用して切削温度を測定した。 2.ダイヤモンドバイト・工具台の設計・製作 すくい角0〜30°、逃げ角10°の単結晶ダイヤモンド平バイトを試作した。工具の製作はダイヤモンド工具メーカの協力を得て行った。また、傾斜切削を行うための傾斜角度を調整可能な工具台を設計・製作した。 3.正面切削実験 直径5inの単結晶シリコン基板に形成された厚さ20μmの金バンプ配列とレジスト層を正面2次元切削により加工を行った。動力計および非接触温度計により切削状態を検出すると共に、微分干渉顕微鏡、非接触3次元形状測定器、走査電子顕微鏡および原子間力顕微鏡を用いて切削面および切りくず形態の観察・測定を行った。 以上の成果は、今後の金バンプのバリ生成機構やレジストの剥離、切りくず溶着のメカニズムの究明に有用な情報提供できると考えられる。
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